問題23 (tomh さん)  

問:円Aと円Bが点Tで外接しています(図を参照)。
円Aの半径をR、円Bの半径をrとします(R>r)。
2円の共通接線のうち(Tを通らない)1本をとり、
円Aとの接点をU、円Bとの接点をVと呼びましょう。
このとき、弧UTと弧VTでは、どちらが長いでしょうか?

解答(tomhさん)


円Aの点Tを通る直径の、点Tの反対側の点をSとします。
点S,Tから、それぞれ直線STの垂線を引き、直線UVとの交点を、それぞれ
M,Nとします。このとき、
 UN = TN = VN,
 SM = UM,
 TN < SM
が成り立ちます。よって、VN<UMです。

すると、線分UMを内分して、UL=VNであるような点Lをとることができます。
そして、線分ALと円Aとの交点をC、線分AMと円Aとの交点をDとします。
線分MCが円Aの外側にあることに注意すると、
 UM/UL = 1 +LM/UL
    = 1 +△ALM/△ALU
    = 1 +△ACM/△ACU
    > 1 +扇形ACD/扇形ACU
となります。("△…"や"扇形…"は、それぞれの図形の面積を表します。)
更に変形を続けると、
 UM/UL > 1 +扇形ACD/扇形ACU
      = 1 +弧CD/弧CU = 弧UD/弧UC
     = (弧US/2)/(弧UT/2) = 弧US/弧UT …(1)     です。

次に四角形MSAUとNTBVは相似なので、
 弧US/弧VT = UM/VN = UM/UL …(2)   となります。
(1)と(2)を比べると、
 弧US/弧VT > 弧US/弧UT
 弧UT > 弧VT                  となります。
 ∴ (円の半径に関わらず)弧UTの方が弧VTより長い。

解答2(tomhさん)


円Bの中心から直線AUへ垂線を引き、その足をHとします。
また、角HBA=φとおきます。
φの動ける範囲は
このとき、

 弧UT = R(π/2-φ),
 弧VT = r(π/2+φ)

となるので、差をとって、

 π(R-r)/2 -φ(R+r)

の正負を調べることになります。
ここで、注意しなければならないのは、パラメータφはRとrによって
決まってしまう量なので、独立変数ではないことです。ですから、
この式を単純にφで微分しちゃいけないんですねぇ。
で、どうするかというと、

 sinφ = AH/AB = (R-r)/(R+r)

という式を使って、

 π(R-r)/2 -φ(R+r) = [(R+r)/2] (πsinφ-2φ) … (A)

と変形して、(2(R+r)は必ず正なので)πsinφ-2φの正負を調べることに
します。これなら、φで微分しても大丈夫です。
実際、正負を調べてみると、(0<φ<π/2の範囲で)πsinφ-2φ>0が
分かります。よって、「弧UTの方が弧VTより長い」ことになります。

ところで、この"πsinφ-2φ>0"という不等式は、"Jordanの不等式"と
呼ばれている有名な不等式なんだそうです。証明方法も色々あるそう
なので、興味を持たれた方は研究してみて下さい。

注意点は、「微分を気楽にしちゃ駄目!」ということです。


補足(ほげ)

グラフから 直線OQの傾き と 直線OPの傾きを考えて sinφ/φ>1/(π/2) から
sinφ/φ>2/π 
πsinφ>2φ
πsinφ-2φ>0 となります




解答(UnderBirdさん)  
Tを通る共通接線と線分UVの交点をWとする。
このとき、UW=WV=WTで四角形AUWTと四角形WVBTは相似であることが容易にわかるから、
UW=xとおくと          AU:WV=UW:VBより 
                  R:x=x:rをといて、
                  x=√(Rr)
∠UAT=θ(rad) [題意より0<θ<π/2としてよい]とおくと、
∠UWT=π−θで 三角形UATと三角形UWTに余弦定理を用いると
   R^2+R^2−2・R・R・cosθ={√(rR)}^2+{√(rR)}^2-2・√(rR)・√(rR)・cos(π-θ) から
   R=r(1+cosθ)/(1-cosθ)
また、弧UT=Rθ、弧VT=r(π−θ) だから、
   Rθ−r(π−θ)
  =rθ(1+cosθ)/(1-cosθ)−r(π−θ)    
   =r{2θ/(1-cosθ)−π}

f(θ)=2θ/(1-cosθ)−πとして
  f ' (θ)=2(1-cosθ-θsinθ)/(1-cosθ)^2   
ここで、0<θ<π/2で常に(1-cosθ)^2>0だから 
     g(θ)=1-cosθ-θsinθとおくと 
        g ' (θ)=-θcosθ<0(0<θ<π/2)            
        g(θ)は0<θ<π/2で減少であり g(0)=0であるから 
        0<θ<π/2において g(θ)<0 となり  f ' (θ)<0であることになる  
よって、f(θ)は0<θ<π/2で減少であり、
f(π/2)=0だから、
0<θ<π/2では、Rθ>r(π−θ)よって、弧UT>弧VT

解答(nobuさん)  

共通接線の交点をOとします。
∠UOT+∠VOT=π   ∠UOT>∠VOTであることより
∠UOT=π/2+α、∠VOT=π/2−α (0<α<π/2)とおけます。
また、∠AUO=∠ATO=∠BTO=∠BVO=90°であることから
∠UAT=∠VOT、∠VBT=∠UOT 

cos∠UAT=(R−r)/(R+r)cos(π/2−α)=(R−r)/(R+r)
R−r=(R+r)×cos(π/2−α)

 弧UT−弧VT =R×(π/2−α)−r×(π/2+α)
=(R−r)× π/2 − (R+r)×α
=(R+r)×cos(π/2−α)×π/2 − (R+r)×α
= (R+r)×(sinα×π/2 − α)

ここでf(α)= sinα×π/2 − α (0<α<π/2) とする
f’(α)= cosα×π/2 − 1
f’’(α)=− sinα×π/2 <0
f’(α)は単調減少、f’(0)= π/2 − 1>0, f’(π/2)= − 1<0
これより f’(t)=0 となる t(0<t<π/2) が存在し、
f(α)は 0<α≦t で増加、 t≦α<π/2 で減少。
f(0)=0, f(π/2)=1×π/2 −π/2=0    

以上より、0<α<π/2 の範囲で f(α)>0 がいえた。
ゆえに 弧UT−弧VT >0すなわち 弧UTの方が弧VTより長い。


解答(kasamaさん) 
下図のように点Bから線分AUに垂線をひき線分ABとのなす角をθとします。


すると、
 弧TU=R(π/2-θ)、弧TV=r(π/2+θ)
ですから、弧TUと弧TVの差を調べればどちらが長いかわかりますね(*^_^*)。
 弧TU-弧TV=R(π/2-θ)-r(π/2+θ)=π(R-r)/2-(R+r)θ=π(R-r)/2-(R+r)sin-1{(R -r)/(R+r)}・・・(※)
です。ここで、sin(θ)=(R-r)/(R+r)⇒θ=sin-1{(R -r)/(R+r)}です。
え〜と、それで、サインカーブの下をかすめる直線をイメージしまして、
 0<x<π/2なら2x/π<sin(x)⇒x<sin(πx/2)⇒πx/2<sin-1(x)  ...@
です。これを(※)に適用しますと、
 弧TU-弧TV>π(R-r)/2-(R+r)π(R-r)/(R+r)/2=0
つまり、弧TUが弧TVより長い訳です。


解答(ろろさん) 
直線UVと直線ABの交点の作る角をθとすると
0<θ<90°
この時
0<sinθ<1
R/sinθ − r/sinθ = R+r
r = R(1−sinθ)/(1+sinθ)
孤UTと孤VTとの差を式にすると
2Rπ(90−θ)/360−2Rπ(90+θ)/360*(1−sinθ)/(1+sinθ)

=2Rπ/360{(90−θ)−(1−sinθ)/(1+sinθ) × (90+θ)}
=2Rπ/360(1+sinθ) × {(90−θ)(1+sinθ)−(1−sinθ)(90+θ)}
=4Rπ/360(1+sinθ) × (90*sinθ−θ)
この時
4Rπ/360(1+sinθ)は常に正となる。
90*sinθ−θ=90(sinθ−θ/90)
Y=sinθのグラフは0<θ<90の範囲で
Y=θ/90のグラフの上にあるので
sinθ−θ/90も常に正になる。
よって孤UT−孤VT>0
となるので、孤UTの方が長い。

解答(uchinyanさん)
以下では、角度は弧度法を使います。
∠UAT = θ とします。
T は共通内接線の接点なので、A、 T、 B は一直線上にあります。
そこで、□UABV を考えると、∠VUA = ∠UVB = π/2 なので、∠VBT = π-θ となり、
弧UT = Rθ、 弧VT = r(π-θ)、 cosθ = (R-r)/(R+r)  であることがわかります。
                       (なお、R > r より、0 < θ < π/2 です。)

今、t = R/r > 1 とおいて、次の式 F を考えます。
F = 弧UT - 弧VT = Rθ - r(π-θ) = (R+r)θ - rπ = r{(t+1)θ-π}
また  cosθ = (t-1)/(t+1) = 1 - 2/(t+1)となっています
F の正負が弧の長さの大小を決定します。

ここで 準備として α = π/(t+1) とおき cosαとcosθ を比較します。
x = 1/(t+1) とおくと、 0 < x < 1/2 で、cosα = cos(πx) と cosθ = 1 - 2x とを
比較すればよいことになります。
0 < x < 1/2 では、cos は、正で、単調減少関数になっています。
さて、この二つの cosの大小 は、二つの関数y = cos(πx)  および y = 1 - 2xの
グラフを書いてみるとわかりますが、cos は、0 < x < 1/2で上に凸なので、
cosα = cos(πx) > 1 - 2x = cosθと分かります。
よって cos の単調減少性より、α < θとなります。

これを使うと
F = r{(t+1)θ-π}>r{(t+1)α-π}=0
したがって、弧UT > 弧VT であることが分かります。