tomhさんの解答
『ズル』も含め、ゲームで出てきた順番に数字を書き並べてみます。
すると、52個の数字が一列に並びます。
逆に1から13までの数字を4個ずつ使って、52個の数字の並びを作ると、
その並びから『時計』のゲームを(『ズル』も含めて)一意的に
再現することができます。
(スーツは無視していることに注意して下さい。)
よって、この数字の並びと、『時計』のゲームは、1対1に対応しているので、
数字の並びについて考えれば良いことになります。
もちろん、並べ方の総数は、52!/(4!)^13 (= N) 通りとなります。
(1) 『ズル』なしで、あがることができるときは、52番目の数字に13が
来るときで、そのときに限ります。そこで、52番目に13を置いたとき、
残り51個の数字の順番の組み合わせは、
51!/[(4!)^12 3!] = N/13 通り
ですから、結局、あがることのできる確率は、これを総数Nで割って、
1/13となります。
(2) 残りカードがk枚だったときのことを考えます。但し、『時計』では、
『ズル』なしの場合でも、最悪4枚の13をめくることができるので、
0≦k≦48です。このとき、52個の数字の並びは、後ろからk+1番目
(前から52-k番目)に"4個目"の13があり、その前に(必ず3枚の13を
含んで)51-k個の数字が、そして、後ろにk個の数字があります。
このような並べ方はが、何通りあるかというと、まず、前半51-k個から
3個の13の位置を決めて、次に残りの12種の数字(48個)の並びを
決めればよいので、
(51-k,3) 48!/(4!)^12 通り
となります。
ここで、コンビネーションの記号を(n,m)と書きましたが、ここだけの記号
なので、注意して下さいね。 (^^;
これらのことより、k枚残る確率は、
((51-k,3) 48!/(4!)^12) / N = (51-k,3) 4! 48! / 52!
です。
よって、残りカードの平均枚数は、
Σ(k=0,48) k (51-k,3) 4! 48! / 52!
です。これを計算すると答えは、
(52,5) 4! 48! / 52! = 48/5 = 9.6 枚
となります。
逆に、平均で52-9.6=42.4枚は表向きにできるということです。
(3) 同じように『ズル』1回であがる確率を求めます。このときも52個の
数字の並びは、前から52-k番目に"4個目"の13があり、その前に(必ず3枚の
13を含んで)51-k個の数字が、後ろにk個の数字があります。
そして、『ズル』をしたときに最初にめくった山の時刻をT(1≦T≦12)と
します(一般にTとなる数字は、めくって出てきたカードの数字では
ないことに注意しましょう)。
『ズル』1回であがれるのは、数字の並びの52番目に数字"T"が来るときで、
かつそのときに限ります。
但し、このとき、あがれていないので、kのとりうる値は1以上です。
(k=0ならば、『ズル』なしであがれたことになる。)
また、4番目の13の前にある51-k個の数字は、必ず3枚の13と1からT-1までの
それぞれ4枚の計4T-1枚のカードを含んでいないといけないので、
51-k≧4T-1を満たさなくてはなりません。まとめると、1≦k≦52-4Tです。
さて、このような数字の並べ方は、
・4番目の13より前の51-k個の場所に、3個の13をいれる: (51-k,3)通り
・上記の残りの48-k個の場所に、1から(T-1)までのそれぞれ4個の数字を
いれる: (48-k,4)(44-k,4)…(52-4(T-1)-k,4)
= (4T-4)! (48-k,4T-4) /(4!)^{T-1}通り
・4番目のT(すなわち、一番最後の数字)より前の51-4T個の空き場所に、
3個のTをいれる: (51-4T,3)通り
・Tよりも大きい(13は除く)残りの数字4(12-T)個を、空いている場所に
いれる: (48-4T)!/(4!)^{12-T}通り
なので、結局、
Σ(k=1,52-4T) [ (51-k,3) (4T-4)!(48-k,4T-4)/(4!)^{T-1}
(51-4T,3) (48-4T)!/(4!)^{12-T} ]
= 4 (51-4T)! (4T-4)! (4T-1,3) /(4!)^12 Σ(k=1,52-4T) (51-k,4T-1)
= 4 (51-4T)! (4T-4)! (4T-1,3) /(4!)^12 (51,51-4T)
= 4 51! / [(4!)^13 T] = N /(13 T)
です。これをTについて和をとり、総数Nで割れば確率です。
(1/N) Σ(T=1,12) N /(13 T) = (1/13) Σ(T=1,12) (1/T).
和を実際にとると、6617/27720=0.2387…となります。
同じように『ズル』2回の場合を計算すると、
(1/13) Σ(T=1,11) Σ(S=T+1,12) 1/(ST)
= 128977/415800 = 0.3101…
となります。
これらのことから、『ズル』2回までで、6割以上あがれることが
わかりました。
*** 後日談 ***
結局、1回あがるどころか、平均枚数42.4枚にもほとんど届かなかった
みっちは、帰宅後、自分はあがれなかったことは隠して、妻に『時計』を
教えた。早速、妻はゲームを始めた。
何回かゲームの様子をみっちが見ていると、あがれないまでも、明らかに
表向きになる枚数が自分のときよりも多めなのに気付いた。
みっちは、何やら嫌な予感がして、その場を離れようとしたときだった。
「やったわよぉ!! あがれたわよぉ!! (^o^)」と妻が喜んでみっちに向かって
叫んだ。
「よ、よかったね… (^^;」とみっちは焦り気味に言った。
それを見た妻は、ピンときたようだった。同情の眼差しでみっちを見つめながら
こう言った。「どうせあがれなかったんでしょ。日頃の行いが悪いからよ…」
また、一つ弱みを握られてしまったみっちであった…
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解答中、Σ(k=0,n) (m+k,m) = (n+m+1,n) や
Σ(k=0,n) k (m+k,m) = (m+1) (n+m+1,n-1) という公式を
使っています。もし興味があれば、証明してみて下さい。
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N種類のカードが、それぞれM枚あるときに拡張しましょう。
ルールは、
「NM枚のカードをよくきって、M枚1組のN組に分けます。それらの山を
左から順に並べていきます。
そして、左から1番の山、2番の山、…、N番の山とします。
最初に1番の山の一番下をめくります。出てきたカードの数字を見て、
その数字の番号の山の上に表を出して置きます。
次に、今、カードを置いた山の一番下から、また、カードを
めくります。そして、出た数字にしたがってカードを置きます。
これをくり返して、カードがめくれなくなったら終了です。そして、
NM枚すべてをめくることができたら、あがりです」
とします。
また、『ズル』も、
「あがれなかった場合、1番の山から順に見ていって、最初に見つかる、
まだすべてのカードが開いていない山の一番下からカードをめくり、
ゲームを続ける」
とします。
このとき、今までと同じように計算すると、
『ズル』なしであがれる確率: 1/N
『ズル』なしのときの残りカードの平均枚数: (N-1)M/(M+1) 枚
『ズル』をk回してあがる確率: [N,k+1]/N!
となります。ここで、[n,m]は『第1種Stirling数』といわれるもの
です(但し、n≧m)。
『第1種Stirling数』が出てくる問題として、
「算数にチャレンジ!!」第353問があります。参考にして下さい。
すでにお気付きかもしれませんが、確率に関係する数字は、1種類の枚数Mに
よらないことがわかります。
つまり、普通のカードで52枚を使う必要はなくて、例えば、スペードの
13枚だけでゲームをしても、あがる確率はやっぱり、1/13に
なるんですねぇ。 (^^;
== 付録 ==
Stirling数について:
Stirling数の組み合わせ論的な説明を簡単にしておきます。
すべて色の異なるビーズをN個用意します。
これをM組のグループに分けます。
このときの場合の数を{N,M}と表し、『第2種Stirling数』と呼びます。
例えば、N=4,M=2のときは、
A+BCD, B+ACD, C+ABD, D+ABC,
AB+CD, AC+BD, AD+BC
の7つの分け方があるので、{4,2}=7です。
次にM組に分けたビーズをそれぞれのグループで紐に通し、リングを
作ることにします。すると、紐に通す順番が違うと、できたリングも
違うものになります。このときの場合の数を[N,M]と表し、
『第1種Stirling数』と呼びます。
先程の例では、
A+BCD, A+BDC, B+ACD, B+ADC, C+ABD, C+ADB, D+ABC, D+ACB,
AB+CD, AC+BD, AD+BC
という組み合わせができるので、[4,2]=11です。
これら数は、
{n,1} = 1, {n,n}=1, {n,m}={n-1,m-1}+m{n-1,m},
[n,1] = (n-1)!, [n,n]=1, [n,m]=[n-1,m-1]+(n-1)[n-1,m]
という性質をもちます。
Stirling数の表し方は、(二項係数のような)標準のものがないようです。
もちろん、今回、ここで使用した[n,m]や{n,m}(そして、二項係数(n,m))は
普通使われません。
#普通は横ではなく、数字を縦に重ねて書きます。
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上の解答のときと同じような計算が多いので、結果だけを
書いたようなものになってしまいました。 (^^;
本当は『ズル』のところの計算は、結構大変なんですけどね。
#難しくはないです。ややこしいだけ…
これから『時計』をやるときは、簡易版の13枚でやって
みて下さいね。(^^)
#やらないって… (^^;;
ほげ の解答(不備なので あとで改訂版を掲載する...かもしれない)
トランプのJQKを11,12,13と書くことにします
めくったカードを最初から順に並べていくことにします
(1)1回で終わる確率
最後に13がきてるとよい事になりますので 4/52=1/13
(2)
ずる1回で終わる確率
1からk-1まで4枚とも出たあとで13が出て(他のカードはどうなっていてもよい)
最後にkというカードが出る確率を求めるとよい。それは上に書いたようにカードを並べることに
対応する。
そこでまず1からk-1と13を4枚ずつ並べる場合の数を求める。ただし最後は13とする。
(k=1のときは13のカードのみと考える)
最後が13になるのは4とおりその他の4k-1枚のカードの並べ方は(4k-1)!通り
よって 4×(4k-1)!通り
次に残りのカードを位置に並べる場合の数を求める ただし最後のカードはkとする。
最後がkになるのは4とおりでその他の52-4k-1=51-4k枚のカードの並べ方は(51-4k)!通り
よって 4×(51-4k)!通り
このようにして得た順列 ○○○○...○○13と ●●●●●●kを組み合わせる。
52個所の置き場所を作っておいて最後にはkをおき残りの51箇所のうち4k箇所を選んで○○○○...○○13
をおいて残りの場所に●●●●●●を順においていくことにする。
このようにして得られた順列 ●○●●○○●●...○●kは条件を満たす事がわかる。
つまり13が出たときには1からk-1まではすべて出尽くしており、1回のずるによってk番目の場所を空けk番目で終わることになります。
組み合わせは C(51,4k)ですから
確率は 以上から 4×(4k-1)!×4×(51-4k)!×51!/4k!(51-4k)!÷52!=1/13kとなります。
k=1,2,...12ですから
求める確率は 1/13(1/1+1/2+1/3+1/4+1/5+1/6+1/7+1/8+1/9+1/10+1/11+1/12)=1/13×86021/27720=6617/27720
(3)ずる2回で終わる確率 13がでたあとずる1回目はjを開きずる2回目はkを開いて終わる場合です
今度はカードを3つの種類に分けます
1からj-1まですべてと13のカード4枚 jからk-1までのカードすべて kから12までのカードすべてです (j<k)
まず 1からj-1まですべてと13のカード4枚の並べ方 (ただし最後は13)
4×(4j-1)!通り(j=1のときは 13のカードのみと考える事)
次にjからk-1までのカードすべての並べ方 ただし最後はj
4×(4k-4j-1)!
最後にkから12までのカード全ての並べ方 ただし最後はk
4×(51-4k)!
まず最初のカードの列と2つ目のカードの列を並べる4kの場所の最後は2つめの列の最後のj、そして残り4k-1個所から4j個とって
最初の列を順に置き、次に残りの場所に2つめの列の順にカードを置くと考える。
C(4K-1,4J)
よって並べ方は 4×(4j-1)!×4×(4k-4j-1)!×C(4K-1,4J)
次にこのようにしてできた列を第4の列とすると第3の列と同じ用に並べなおす。
つまり 52の場所を用意して 最後は第3の列の最後のkのカード残りの51箇所から4kの場所を選んで第4の列を順に置き
残りの場所に第3のカードを順に置くと考える その選び方は C(51,4k)であるから
確率は 4×(4j-1)!×4×(4k-4j-1)!×C(4K-1,4J)×4×(51-4k)!×C(51,4k)÷52!=1/13jk (j=1,2,3...11 k=2,..12. j<k)
その総和を1/13Tとすると2T=(1/1+1/2+1/3+...+1/12)^2-((1/1)^2+(1/2)^2+(1/3)^2+...(1/12)^2)=(86021/27720)^2-1202525545/768398400
6197086896/768398400 T=3098543448/768398400 1/13T=128977/415800