問題13 (tomhさん)
問題編
三角形ABCがあります。但し、三角形ABCは正三角形ではありません。
この三角形ABCの辺AB上にABの長さを一辺とする正三角形ABDを、点Dが
三角形ABCの外側くるように描きます。同じように辺BC上にはBCの長さを
一辺とするような正三角形BCEを、辺CA上にはCAの長さを一辺とする
ような正三角形CAFを、それぞれ、点E、点Fが三角形ABCの外側に
なるように描きます。このとき、3つの三角形の対応を
△ABD∽△BCE∽△CAFとします。
さて、三角形ABDに対して、ある位置に点Pを置きます。
(点Pは三角形ABDの内部とは限りません。辺上や外側もありえます。)
そして、三角形ABDと点Pの位置関係を、三角形BCEの相似の位置に
写すことで点Qを置きます。
(つまり、三角形ABPと三角形BCQが相似になるなど、対応するものが
すべて相似になるということです。)
三角形CAFに対しても同じように点Rを置きます。
すると、三角形PQRは正三角形になりました。
ところが、実は点Cの位置はわかりません。このとき、点Pの置くことが
できる可能性のある領域はどこでしょうか?
解答
ABを一辺とする正三角形の重心(2点)
後日談
クライアントに2カ所の候補点を教えてから数日後、みっちは
"いっちむ"を開店前に訪れてみた。
「この前のクライアントは、掘る場所がたった2カ所だってことを
教えたら、表情は見えなかったけど、相当びっくりしてたみたい
だなぁ。コーヒーを床にひっくり返してたもんね (^^)」とみっちは、
この間のことを思い返しながら、"いっちむ"に入っていった。
店内では、マスター・キーが開店準備をしていた。
マスター・キーは、準備の手を休めて、みっちにコーヒーを
いれてくれた。 ■D_(^0^) イツデモオイチ〜ィ
みっちは、マスター・キーに、この間のクライアントのことについて
尋ねてみた。
「掘り出したそうですよ」とマスター・キーは答えた。「それも一発で
当てたそうです」
「そりゃ、すごいねぇ」とみっちは、感心しながら言った。「で、何が
出てきたの?」
「どうやら、古文書のようなものだったみたいですねぇ」
「へぇ、それは価値があるものだったのかなぁ」
「歴史的には価値があるようなのですが、金銭的にはどうも…」と
マスター・キーは、少し微笑みながら言った。
「そりゃ、お疲れさまだったんだねぇ」とみっちも笑いながら応えた。
「じゃ、報酬はもらえたの?]
「いえ、クライアント様からは頂きませんでした」
「そうだよねぇ。そんな人からもらうのは可哀想だよねぇ」とみっちは
言った後に、ちょっと気になった。「"クライアント様からは"? (??) 」
すると、マスター・キーは、にやりとした。( ̄_ ̄)ニヤリ
「私の仲間に、もう片方の候補地を掘らせてみたんですよ」
「もう片方!」(◎o◎)!
「そしたら、金塊が出てきたそうで」
「金塊…あっ、そう…」みっちは、それ以上の言葉が出なかった。
みっちはコーヒーを飲み干して、ご馳走様を言い、金塊の量もそれが
どうなったかも尋ねないまま店を出た。
解答編
平面座標系を設定します。
点Aの座標を(0,0)、点Bの座標を(b,0)、点Cの座標を(c,h)と置きます。
但し、0<b, 0≦c, 0<hとします。また、点Pの座標を(x,y)とします。
このとき、点Qと点Rの座標を計算すると、
Q: (b-(b-c)x/b-hy/b, hx/b-(b-c)y/b),
R: (c-cx/b+hy/b, h-hx/b-cy/b)
となります。
よって、辺PQ,QR,RPのそれぞれの長さ(の2乗)は、
PQ^2 = b^2 +[(2b-c)^2+h^2](x^2+y^2)/b^2 -2[(2b-c)x+hy],
QR^2 = (b-c)^2+h^2 +[(2b-c)^2+4h^2](x^2+y^2)/b^2
-2[{(b-c)(b-2c)+2h^2}x+bhy]/b,
RP^2 = c^2+h^2 +[(b+c)^2+h^2](x^2+y^2)/b^2
-2[{c(b+c)+h^2}x+bhy]/b
です。
三角形PQRが正三角形になることと、三辺が等しいことは
必要十分条件ですから、PQ=QR=RPを使ってみましょう。
PQ^2=QR^2より、
0 = -b^2+c^2+h^2 +3(-b+2c)(x^2+y^2)/b
+2(2b^2-2bc-c^2-h^2)x/a, …(1)
また、PQ^2=RP^2より、
0 = c^2-2bc+h^2 +3(-b^2+c^2+h^2)(x^2+y^2)/b^2
+2(b^2+2bc-2b^2-2h^2)x/a …(2)
です。この2式より、(-b^2+c^2+h^2)x(1)+(b(b-2c))x(2)を計算して、
変形します。:
0 = [{h^2-(b^2+2bc-2c^2)/2}^2+3b^2(b-2c)^2/4] (b-2x).
右辺の最初の括弧の中身は、 △ABCが正三角形でないことから、"0"では
ありません。よって、x=b/2が得られます。
この結果を(1)に代入して、yについて解くと、y=±(√3)a/6となります。
結局、点Pは、△ABDの重心G、または、点Gの直線ABに対して対称な
点G'ということがわかりました。
解答 Nonさんの解法
A(0,0) B(1,0) C(x,y) P(p,q)とする。
AB=(1,0) その90度回転ベクトルはα=(0,1)
BC=(x-1,y) その90度回転ベクトルはβ=(-y,x-1)
CA=(-x,-y) その90度回転ベクトルはγ=(y,-x)
AP=pAB+qαなので、
BQ=pBC+qβ=(px-qy-p,qx+py-q)
CR=pCA+qγ=(-px+qy,-qx-py)
よって、
AQ=AB+BQ=(px-qy-p+1,qx+py-q)
AR=AC+CR=((1-p)x+qy,-qx+(1-p)y)
PQ=AQ-AP=(px-qy-2p+1,qx+py-2q)
PR=AR-AP=((1-p)x+qy-p,-qx+(1-p)y-q)
PQがPRの±60度回転になれば、PQRは正三角形。
1/2(px-qy-2p+1)干√3/2(qx+py-2q)=(1-p)x+qy-p
±√3/2(px-qy-2p+1)+1/2(qx+py-2q)=-qx+(1-p)y-q
px-qy-2p+1干√3qx干√3py±2√3q-2x+2px-2qy+2p=0
±√3px干√3qy干2√3p±√3+qx+py-2q+2qx-2y+2py+2q=0
(3p干√3q-2)x-(±√3p+3q)y±2√3q+1=0
(±√3p+3q)x+(3p干√3q-2)y干2√3p±√3=0 …☆
連立方程式☆は、(x,y)=(1/2,±√3/2)を解に持つが、この時△ABCは正三角形となる。
☆がこれ以外の解を持つためには、
(3p干√3q-2)^2+(±√3p+3q)^2=0 (判別式=0)が必要。
12p^2+12q^2-12p±4√3q+4=0
12(p-1/2)^2+12(q±√3/6)^2=0
(p,q)=(1/2,干√3/6)
すなわち、PがABを一辺とする正三角形の重心にあることが必要。
逆にこの時、☆は恒等式となるので、Cがどんな位置にあったとしても、△PQRは正三
角形となる。
よって、Pの存在しうる場所は、△ABDの重心または、△ABD'の重心(D'はABに関す
るDの対称点)のいずれか。
解答 有無相生さんの解法
複素平面において、Bを原点、BCを実軸にとる。
角ABDをθ、ABの長さを1とする。
Cの座標を、任意の正の実数pをもちいて、C(p+0*j) (jは虚数単位)とする。
Aの座標は、exp(j*θ)となる。
Pは、AをBの周りに反時計回りにφ回転して、絶対値をr倍した位置におくと、
Pの座標は、r*exp(j*(θ+φ))となる。これをuとおく。
u=r*exp(j*(θ+φ)) ....... (1)
Qの座標をzとおくと、Qは、BをCの周りに反時計回りにφ回転して、BCの長さをr倍したものだから、
z-p=r(0-p)*exp(j*φ)
z=p-r*p*exp(j*φ) ....... (2)
Rの座標をwとおくと、Rは、CをAの周りに反時計回りにφ回転して、CAの長さをr倍したものだから、
w-exp(j*θ)=r*(p-exp(j*θ))*exp(j*φ)
w=exp(j*θ)+r*p*exp(j*φ)-r*exp(j*(θ+φ))....(3)
三角形PQRは正三角形より、RはQをPの周りにπ/3回転させたものだから、
w-u=(z-u)*exp(j*π/3).......(4)
(1),(2),(3)を(4)に代入して、
p*[1-r*exp(j*φ)-r*exp(j*φ)*exp(-j*π/3)]=exp(j*θ)*exp(-j*π/3)*[1-r*exp(j*φ)+r*(exp(j*π
/3)-1)*exp(j*φ)]
任意のp、θに対して、上式が成り立つから、
左辺の[..]内が0でかつ、右辺の[..]内が0である、r、φを求めればよい。
左辺の[..]=0より、
r*exp(j*φ)=1/[1+exp(-j*π/3)]=1/sqr(3)*exp(j*π/6)より、
r=1/sqr(3), φ=π/6
右辺の[..]=0より、r*exp(j*φ)=1/[2-exp(j*π/3]=1/sqr(3)*exp(j*π/6)となり、
r=1/sqr(3), φ=π/6が、「三角形PQRは正三角形」の条件がわかる。
Pは、AをBの周りに反時計回りに30度回転して、BA(=1)を1/sqr(3)倍した位置だから、重心の位置にな
る。
Qは三角形ACEの重心、Rは三角形CAFの重心になる。
さらにこの解答にπ/3回転だけでなく、-π/3回転を入れないといけません。
-π/3回転から、φ=-π/6が出てきて、Aを時計周りに30度回転して、1/√3する点、重心のABに関する対称
点がでてきます。
重心の対称点で作る正三角形の頂点の順序が逆転しています。
ということで後半は同様なので省略します。
付加情報
今回の問題は、次のような問題が元になっています。
問題A:△ABCの外部に、辺AB,BC,CAを一辺とする正三角形を作り、
それらの重心を、それぞれP,Q,Rとすれば、△PQRは正三角形である。
この問題を見て、「重心以外に、正三角形になる点の組はないの
かなぁ」と思い、探してみたわけです。
結局、重心と、重心の辺に対する対称点の2カ所のみという、非常に
限られたものになるということが分かりました。
逆にそれは、元の三角形が完全に分からなくても、一辺が与えられれば、
候補の点は2つだけに絞られるということなので、今回の問題になる
わけです。 (^^)
さて、実は問題Aには、更に元になる問題が存在するのです!
それが、次の問題です。
問題B:△ABCの辺AB,BC,CAの上に、それらを一辺とする正三角形を
△ABCの外側に作る。そして、これら3つの正三角形の面積の相加平均を
T、△ABCの面積をSとする。このとき、「△ABCが正三角形」である
ことと「T=S」であることは必要十分条件である。
「△ABCが正三角形→T=S」は、ほとんど明らかですね。そこで
「△ABCが正三角形←T=S」を考えることになります。これもそんなに
大変なものではないので、興味のある方はご自分でやってみて下さいね。
問題Aを作った人は、問題B(の「△ABCが正三角形←T=S」)を
考えようとしたときに、それぞれの正三角形の重心を使って、△PABと
△QBCと△RCAの面積の和がTになることに注目して、図形的に解こうと
したそうです。その試みは失敗に終わったそうですが、副産物として
問題Aができたそうです。
ところで、問題Bは、更に発展できるそうです。
問題C:n角形の外側に、それぞれの辺を一辺とする正n角形を描き、
面積の相加平均をTとする。元のn角形の面積をSとするとき、T=Sならば、
このn角形は正n角形である。
(問題Bの「△ABCが正三角形→T=S」に相当するところは明らかなので
省略。)
私は、この問題Cの証明は、未だにできていません。 (^^;
どなたか証明を完成させた方は教えて下さいね。 m(__)m