問題7 (BossFさん)

立体図形の問題です。ある閉曲面があり、その曲面が平面で切断されるときの断面が常に円であるとき、
この閉曲面は球であることを証明してください。

BossFさんはHPで毎月問題をUPされております。持ちネタのうちのひとつをプレゼントしてくれました。


この閉曲面を平行な平面群で切断していきます。そのとき切り口の円の半径が最大になるような平面をαとします。
平面αのひとつの直径をABとし、今度は直径ABを含む平面群でこの図形を切断していきます。
もし、その切断面においてABがつねに直径であればこの立体は球だあることがわかります。
 ABがつねに直径であることを証明しましょう。背理法で証明します。
ABを含む平面βで切断したときにABが弦であるとします。そのときの円の直径でABに平行なものをCDとすると
CDは平面α外の線分ですからCDを通り平面αに平行な平面γによってこの曲面を切断してみます。その切断面の円の
直径はCDより大きいか等しく、CDはABより大きいのですからABのとり方(平面群で切断したときの最大の半径がAB)に矛盾
します。よってABはつねに直径となっていることがわかりますから、この立体は球であることになります。


この問題の中で閉曲面という条件は必要でしょうか。閉曲面というものの定義がよくわからないのですが、原点からの距離をLとするとき
任意のMについてMより大きくなるようなLを与える点が曲面上に存在するものが開曲面でそれ以外が閉曲面ということでいいのでしょうか

閉曲面という条件が必要でないような気がするのは次のような理由によります。

まずこの曲面をある平面αで切断します。そのひとつの直径をABとして、直径ABを含む平面をθ回転してこの立体を切断すると
切り口はすべて円ですから平面で切ったときに、この切断面上の点について円Aからの距離の最大値をL(θ)とすると
L(θ) はすべてのθに対して存在するので その最大値をL(a)とするとこの曲面はAを中心として半径L(a)の球の内部に含まれるので
閉曲面となります。

このとき問題となるのが上の赤字の部分です。これが解決できるといいのですが...
y=f(x)が閉区間で有限値であるときこの関数はこの閉区間で最大値を持つということは一般には成り立たないのですが、連続ならば
いえます。 L(θ)が連続であることが証明できるといいのですが、成立しないでしょうか。

tomhさんの解答
まず、立体を3次元座標の中に置きます。
立体は閉曲面なので、立体の存在する範囲は有限で、今、x軸方向の両端の
値をそれぞれ、x_s,x_e(x_s<x_e)とします。そして、yz平面に平行な平面で
立体を輪切りにしていくことを考えます(CTスキャンみたいなので、
この操作を"CT"と呼んじゃいましょう。 (^^; )。
すると、x_s<x<x_eなる各xに対して、平面の断面による円の直径が必ず
一つ決まります。この対応をr=r(x)(>0), x_s<x<x_e, r(x_s)=r(x_e)=0と
します。

この対応(関数)rは、xについて連続です。
もし、連続でない、すなわち、あるところでrに飛びがあったと仮定します。
このとき、飛びがある(どちらかの)円の直径を含むxy平面に垂直な、
ある平面による切断面は、この飛びのために円にはなりません。よって、
rは、xについて連続です。

そこで、「閉区間で連続な関数は、その区間で最大値、最小値をとる。」と
いう”最大値・最小値の定理”によって、r(x)はx_s≦x≦x_eという区間の
どこかで最大値をとります。

さて、この最大値をとる点が二つ以上あったとしましょう。その中の一つを
x_1、これとは別の最大値をとる点をx_2とします;
r(x_1)=r(x_2), x_s<x_1<x_2<x_e.
このとき、操作CTでx_1,x_2にできたそれぞれの円の頂点(z座標の一番
大きい点)を含むxy平面に垂直な平面の切断を考えましょう。
(この切断は、x_1,x_2のそれぞれの円のxy平面に垂直な直径を含むことに
注意しましょう。)
この新たな平面による切断面も円になります。しかし、x_1≠x_2なのに
r(x_1)=r(x_2)ですので、それぞれの円の直径は、どちらも新たな円の
直径ではなく、その直径から等距離離れたところにきます。よって、この
新しい円の直径Rは、r(x_1)などより大きいことになります;
r(x_1)=r(x_2)<R.
この新しい円の直径がある位置をx=x_3とすると、点x_3での操作CTで
できる円の直径r(x_3)は、Rになります。ところが、操作CTによる円の
最大値はr(x_1)でしたので、これは矛盾です。
よって、閉区間[x_s,x_e]にはr(x)の最大値は一つしかありません。

この最大値の直径をもつ円をCと呼び、その中心を平行移動で3次元座標の
中心にもってきましょう。これで、最大値r(0)の直径をもつ円Cが
yz平面上にあることになります。

実はこの直径r(0)は、立体のあらゆる切断でできる円の中でも最大の直径に
なることがいえます。
もし、(切断面はyz平面に平行とは限らない)ある切断で、r(0)以上の
直径Rをもつ円Dができたしましょう。このとき、円Dの中心を含むように
操作CTを行うと、切断面としてできた円は、円Dの直径を含むので、
直径がR以上となってしまい、(円Cの直径である)r(0)の最大性や一意性
などと矛盾してしまいます。よって、立体の任意の切断でできる円の
直径では、このr(0)が最大になります。

このことは、原点を含む切断を行うと、必ずその断面の円は、原点を
中心とする直径r(0)になることを示しています。(∵このような円は、円Cの
直径含み、そして、r(0)を越える直径の円はできないから。)

最後に原点を含む操作CT(つまり、円Cを作る操作)で切断に使った平面を
z軸を軸として回転させてみます(CTスキャンの回転版?!)。先程わかった
ことより、このとき各切断面上にできる円は、原点を中心とする直径r(0)の
円です。
また、立体の表面上の任意の点は、必ずどれかの平面と交わり、その
平面上に現れる円を構成しています。これは、立体表面上のすべての点が、
原点から距離r(0)にあることを示しています。
このような立体(閉曲面)は球です。

geoさんの解答
この閉曲面を平行な平面で無限きっていくと考えて、この閉曲面の端から端まで平面を平行に移動していく。
この間に、さまざまな大きさの円ができるが、閉曲面の性質よりその大きさは、連続に変化し有限である。よっ
て大きさが最大となる平面は存在する。ここで大きさが最大となるような平面は1つだけである。[仮にそのよう
な平面が2つ以上存在するとし、そのうち2つの平面をA,Bとして、そこに含まれる円をa,bとする。a,bの中心であ
る2点を含む平面は存在するので、a,bの直径の端点となる4点を含む平面(D)は存在する。その4点は閉曲面
上に存在するので、D上に円(d)が存在し、その直径はa,bの直径より大きい(小さいときは円の定義から、また
同じときはa,bが異なる平面であることから矛盾するため)。そしてdはa,bの大きさが等しく平行な2つの直径を弦
にもつので、dの中心は円の性質からa,bの間にある。よってdの中心を通りa,bに平行な平面(E)を考えると、Eは
閉曲面上に存在するdと交わるのでE上に円(e)が存在し、その直径はdの直径
!
!
$KEy$7$$!#dの直径はa,bの直径より大きく 従ってeの直径はa,bの直径より大きい。しかし、これはa,bが最大の
円であることに反する。よって そんな平面は1つだけである。] さて、ある平面を閉曲面の端から端まで平行移
動したときにできる、円が最大になるような円(f)を含む平面(F)に対して、Fと平行でないある1つの平面を考え
る。その平行でない平面を閉曲面の端から端まで平行移動させたとき、含まれる円が最大となる平面(G)がただ
1つ存在するが、その平面に含まれる最大の円(g)の直径はfの直径に等しい。[仮にfの直径より大きいとする。
gの直径を通りFに平行な平面(H)を考えると、それは閉曲面上に含まれるgの直径の端点を含むので、H上には
gより大きく従ってfより大きな円が存在するが、これはfが最大の円であることに反する。またGを平行移動すると
fの中心を含む平面に一致させることが明らかにできるのでgの直径はfの直径以上である。よってgの直径はfの
直径に等しい。]
fの直径を軸にFを回転した平面を考えると、この平面はfの直径の端点を含むのでそこに含まれる円の直径はfの
直径以上であるが、上のことからその直径はfの直径に等しい。直径を共有するのでFを回転させた平面に含まれ
る円の直径と半径はfの中心と半径が等しい。
ゆえにFをfの直径を軸に180°回転させる、つまり円であるfを180°その直径を軸に回転させると、そのfの軌跡
は明らかに閉曲面である球なる。fは題意の閉曲面に含まれるので、題意の閉曲面は球となる。