投稿問題2(1) (tomhさん)解答 

まず、適当に単位を決めて(cmでもmでも何でもいいです。)、その単位で辺の長さがすべて整数
になる三角形を考えます。これを”整数三角形”と呼びましょう。(これは私の造語です。実際には
ありません。 (^^; )また、この単位での長さ1の事を”単位長”としましょう。

問:整数三角形のうちで、辺の長さが単位長ずつ違っているものをさがします。つまり、辺の長さが
(n-1,n,n+1)となっているものです。鋭角三角形では、このような三角形は無数にあります。
直角三角形では、(3,4,5)のみです。では、鈍角三角形で、このようになるものをすべてさがして下さい。

次に、整数三角形で、しかもその面積も整数になるものを”完全整数三角形”と呼びましょう。
(繰り返しますが、造語です。 (^^;; )

問:格子間隔が単位長の(2次元)格子を用意して、完全整数三角形をその上に配置します。
このとき、うまく三角形を置くと、3頂点が同時に格子点上に来るようできることを示して下さい。


解答1は解答2から導かれることを利利用していますね。もちろん定理としてよく知られていることですよね。


tomhさんの解答
完全整数三角形の三辺の長さをa、b、c、面積をSとします。
s=(a+b+c)/2とすれば、SはHeronの公式によって、
 S^2 = {s(s-a)(s-b)(s-c)}  …(1)
と表せます。もし、a+b+cが奇数だと、(1)の右辺は、(奇数)/16となって、
整数ではないので、a+b+cは偶数です。よって、sは自然数になります。

次にa、b、cが公約数mをもっているものとします。
 (a) mが奇数のとき:(1)の4因子は、すべてmの倍数です。よって、Sはm^2で
割り切れます。つまり、a/m、b/m、c/mを三辺にもつ、三角形も
完全整数三角形です。
 (b) mが偶数のとき:(1)の右辺を展開すると、
 S^2 = s^4 -2s・s^3 +(ab+bc+ca)s^2 -abcs ≡ -s^4 (mod 4)  …(2)
となります。ところで、(奇数)^2 ≡ 1 (mod 4)、(偶数) ≡ 0 (mod 4)ですが、
もし、sが奇数だとすると、(2)は、S^2 ≡ -1となってしまい、矛盾です。
よって、sは偶数です。すると、(1)の右辺の4因子はすべて偶数で、Sは4で
割り切れます。つまり、a/2、b/2、c/2を三辺にもつ三角形も
完全整数三角形になります。

(a)と(b)を考慮すると、a、b、cの公約数で割ることで縮小された完全整数
三角形が格子点にのれば、もとの三角形も格子点にのるので、a、b、cに
公約数がないときを考えておけば十分です。また、a+b+cは偶数で、
a、b、cには公約数がないのですから、aとbが奇数、cが偶数と仮定しても
一般性を失いません。

ここで、s(s-c)と(s-a)(s-b)の最大公約数をd(≧1)します。このとき、
面積Sはdで割り切れます。そして、s(s-c)/dと(s-a)(s-b)/dは互いに素で、
その積が整数の2乗(S/d)^2になっていなければならないので、互いに素な
自然数x、yによって、
 s(s-c) = d x^2, (s-a)(s-b) = d y^2  …(3)
と書けます。(3)の2式の両辺を辺々足したり、引いたりすると、
 ab = d(x^2+y^2)  …(4)
 a^2+b^2-c^2 = 2d(x^2-y^2)  …(5)
となります。

ここで、aとdの最大公約数をa_0とすると、a_0 = ka+ld(≧1)と表せます
(kとlは整数)。同様にbとdの最大公約数b_0は、b_0 = pb+qd(≧1)と
表せます(pとqは整数)。a_0とb_0の公約数は、a、b、dの公約数でも
あるわけですが、(5)より、cの公約数にもなって、a、b、cには公約数が
ないことに矛盾します。よって、a_0とb_0には公約数はありません。
このことより、a_0 b_0はdの約数です。
一方、(4)を使うと、
 a_0 b_0 = kpab +d (kqa +lpb +lqd) = d [kp(x^2+y^2) +(kqa +lpb +lqd)]
となって、a_0 b_0は、dの倍数にもなっています。約数でもあり、倍数でも
あるということは、a_0 b_0 = dを示しています。
そこで、a_1 = a/a_0、b_1=b/b_0とおいて、(4)の両辺をdで割ると、
 x^2+y^2 = a_1 b_1  …(6)
となります。

さて、ここで、実部・虚部とも整数であるガウス整数というものを考えます。
ガウス整数は、普通の整数と同じように倍数・約数の概念が定義でき、更に
「ガウス整数z、wに対し、z=qw+r, |r|<|w| なるガウス整数q、rが
必ず存在する」という事実を使い、Euclidの互除法で最大公約数も
定義できます。(普通の整数と同じですね。)

μ=x+iyとして、(6)の左辺をμμ^*(μ^*はμの複素共約)として、
先程と同じような議論を進めてみましょう。

a_1とμの最大公約数をα_1 =σa_1+τμと書きます(σ、τはガウス整数)。
ところで、xとyは互いに素でしたから、xとx^2+y^2も互いに素です。更に
x^2+y^2は奇数でしたから、2xとx^2+y^2も互いに素です。よって、
μ+μ^*=2xとμμ^*=x^2+y^2が互いに素ということなので、μとμ^*も
互いに素です。これは、μとμ^*のそれぞれの約数α_1とα_1^*も互いに
素だということを示していますから、α_1・α_1^*はa_1の約数です。
(α_1がa_1の約数ならば、α_1^*もa_1の約数になることに注意しましょう。)
一方、(6)を使うと、
 α_1 α_1^* = ττ^*μμ^* + a_1 (σσ^*a_1 +στ^*μ^* +σ^*τμ)
        = a_1 (ττ^*b_1 +σσ^*a_1 +στ^*μ^* +σ^*τμ)
となって、α_1・α_1^*はa_1の倍数にもなっています。約数でもあり、
倍数でもあるということは、α_1 α_1^* = a_1ということです。したがって、
β_1 = μ/α_1とすると、(6)より、β_1 β_1^* = b_1となります。

更にα = a_0 (α_1)^2、β = b_0 (β_1^*)^2とおくと、
 αα^* = (a_0)^2 (α_1 α_1^*)^2 = a^2,  …(7)
 ββ^* = (b_0)^2 (β_1β_1^*)^2 = b^2   …(8)
となります。そして、
 (β-α) (β^*-α^*) = αα^* +ββ^* -(αβ^* +αβ^*)
           = a^2 +b^2
             -a_0 b_0 [(α_1 β_1)^2 +(α_1^* β_1^*)^2]
           = a^2 +b^2 -d (μ^2 +(μ^*)^2)
           = a^2 +b^2 -2d (x^2-y^2)
となりますから、(5)によって、
 (β-α) (β^*-α^*) = c^2  …(9)
です。(7)、(8)、(9)は、|α|=a、|β|=b、|β-α|=cを示しています。
これは、ガウス平面上で、格子点0、α、βに三角形の頂点をおくと、
三辺の長さがa、b、cで、面積がSの完全整数三角形が実現できることを
意味してます。

noether さんの解答

【命題】完全整数三角形は格子点上に配置可能である。

[証明]
三角形Tを完全整数三角形とする。
Tは各辺ならびに面積が整数なので、その内角の余弦および正弦はすべて有理数である。
よって、Tは有理点上に配置可能である。(たとえば、1つの頂点を原点、もう1つの頂点を
x軸上(の格子点)にとれば残る頂点は有理点である。)

そこでいま、原点Oを1つの頂点としてTを有理点上に配置する。(残る2つの頂点をA,B とおく。)
ここでA,B がともに格子点であれば証明すべきことはないので、そうでない場合を考える。
このとき、適当な正整数kをとって、三角形OABを(Oを中心にして)k倍相似拡大することにより、
A,Bをそれぞれ格子点A',B'に写すことができる。(かつこのとき、△OA'B'の各辺はkの倍数である。)
よって、 △OA'B' を、原点中心に適当に回転することにより、 A',B' を同時にk-格子点
(両座標がkの倍数である点) に写すことができる
ことがいえれば証明は完了する。
そしてこれをいうには、(必要ならkを素因数分解して)kが素数pの場合についていえれば十分である。
つまり次の補題を示せばよい。
【補題】
 pを素数とする。各辺がpの倍数である△OABが格子点上に
 配置されているとき、Oを中心に適当に回転することにより
 A,Bを同時にp-格子点に写すことができる。

[補題の証明]
(以下、複素平面上でガウス整数を考える。 またガウス整数z=x+yi に対して、N(z)=x^2+y^2 とおく。)
A,Bを表す複素数をα、β∈Z[i] とおく。各辺がpの倍数であることから、
N(α),N(β),N(α-β)はすべてp^2 割り切れる。

ここで、p=2のときおよびp≡3(mod4) のときは、一般にz=x+yi∈Z[i] に対して
 p^2|x^2+y^2 ⇒ p|x かつ p|yが成り立つことから、このときαとβはすでにp-格子点になっている。

そこで以下p≡1(mod4) とする。このとき有理整数u,vで p=u^2+v^2を満たすものがとれる
(「平方剰余の相互律」の系)。かつこのとき p=(u+vi)(u-vi)
はZ[i]におけるpの素元分解を与える。
すると、一般にz=x+yi∈Z[i] に対して
 p^2|N(z) ⇒ {(u+vi)(u-vi)}^2|(x+yi)(x-yi) ⇒(u+vi)^2|x+yi または(u-vi)^2|x+yi または p|x+yi
   ・・・・・・(★)が成り立つ。

ここで次のことが成り立つ:
 u+vi,u-vi のうち、少なくとも一方はαとβの共通因子である。
[∵] そうでないとする。そのとき u+viはαの因子でなく、かつu-viはβ?の因子でない
と仮定して一般性を失わない。ところが、p^2はN(α)とN(β)を割り切るので、
u-vi|αかつu+vi|βでなくてはならない。
するとこのとき、u+vi,u-viはいずれもα-βの因子ではなくなるが、
これはp^2がN(α-β)を割り切ることに反する。■

そこでいま、
 u+viはαとβの共通因子である
として一般性を失わない。
さて、αとβがともにp-格子点になっていれば証明すべきことはないので、
少なくとも一方はp-格子点でないとしよう。それがαだとしてよい。
そのとき、★によりαは(u+vi)^2 を因子にもつ。

ここで、βが(u+vi)^2を因子にもたないと仮定する。
そのとき★によりβはpを因子にもち、すると
α-βは(u+vi)^2でもpでも割り切れないので、★により
α-βは(u-vi)^2を因子にもつ。
ところがα-βはu+viを因子にもつので、結局α-βはpを因子にもつことになり矛盾。
よってβは(u+vi)^2を因子にもつ。

これで、(u+vi)^2 はαとβの共通因子であることがわかった。
そこでα=g(u+vi)^2 ,β=h(u+vi)^2 (g,h∈Z[i]) とおく。
さていまε={(u-vi)^2}/p とおくと、εα=pg ,εβ=ph となるので
εα,εβはともにp-格子点になる。また|ε|=1 であるから、
εをかけることは「原点中心に回転する」ことになる。
よって補題は示された。

以上により、最初の命題は示された。



解答1 teki さん 老眼鏡 さん taku さん

鈍角三角形 (n+1)^2>n^2+(n-1)^2 から n^2-4n<0 n=1,2,3
三角形の成立条件  n+(n-1)>n+1 から         n>2
以上よりn=3 (2,3,4)



解答2 清川 育男 さん 
余弦定理より、0<(4-n)/(2*(n-1))<1
 2<n<4 -> n=3
 2,3,4の一組。

解答3 モルモット大臣 さん 
三辺が整数であり辺の長さが単位長ずつ異なる鈍角三角形ABCの三辺をそれぞれAB=n
-1,BC=n,CA=n+1(nは2以上の整数)とすると∠Bが鈍角となる。
三角形の成立条件からAB+BC>CA よってn+n-1=2n-1>n+1からn>2 ∴n≧3
また三角形ABCで∠B に対する余弦定理からAB^2+BC^2-2AB×BCcos∠B=CA^2
cos∠B=(AB^2+BC^2-CA^2)/2BC=[n^2+(n-1)^2-(n+1)^2]/2n(n-1)=(n^2-4n)/2n(n-1)
よってcos∠B=(n-4)/2(n-1) ここで∠Bは鈍角より90°<∠B<180°だから
-1<cos∠B<0である。したがって-1<(n-4)/2(n-1)<0を解けばよい。
-1<(n-4)/2(n-1)<0の両辺にn-1>0をかけて1-n<n-4<0を求め5/2<n<4
n≧3とあわせてn=3である。よって求める三辺が整数である鈍角三角形は三辺がそれ
ぞれ2,3,4である三角形